全国的なタクシー不足が深刻化し、特に観光地や夜間の移動では「つかまらない」という声が増えています。また、高齢化が進む地域ではバス路線の減少により移動手段の確保が課題となっています。こうした中、新たな交通手段として「日本版ライドシェア」が導入され、タクシー業界にも変革の動きが見られます。特に、交通弱者の支援という観点から、その可能性が注目されています。
交通弱者支援としてのライドシェアの可能性
国土交通省の調査では、タクシー車両数が2006年度と比べて2割減、運転者数も4割減となっています。特に地方では移動手段が限られ、「外出したくても手段がない」という声が多く寄せられています。バスやタクシーが運行しづらい時間帯・エリアでライドシェアを活用することで、利便性向上が期待されます。
一方、ライドシェアの拡大が既存の公共交通機関に悪影響を及ぼさないよう、バランスを考えながら進めることが重要です。
安全性の確保とタクシー業界との共存
ライドシェア普及に伴い、安全性の確保が課題となります。海外では運転手によるトラブルが報告されており、日本でも運転手の適性審査や研修制度の強化が必要です。
現在、日本版ライドシェアはタクシー会社の運行管理のもとでのみ運営が認められています。これは安全確保とタクシー業界との共存を目的とした措置であり、ライドシェアを補完的な手段として活用し、時間帯や地域に応じた役割分担を明確にすることが求められます。
地域に適した制度設計
ライドシェアの本格導入には、運転手の資格要件や監督体制の整備など慎重な検討が必要です。また、大都市と地方では交通事情が異なるため、全国一律の制度ではなく、地域に適した形での導入が重要です。
兵庫県としても、地域の実情に合わせた交通政策を推進し、安全かつ利便性の高い移動手段の確保に努めてまいります。地域の皆様の声を大切にしながら、最適な交通政策を検討してまいります。