今回は、公明新聞の記事から、最近議論が高まっている「OTC類似薬の保険適用見直し」問題について、患者の皆様の立場に寄り添った視点からお伝えします。
●OTC類似薬とは何か?
OTC類似薬とは、市販薬(OTC薬)に成分や効果が似ているものの、医師の処方箋が必要で公的医療保険が適用される医薬品のことです。代表的には、アトピー性皮膚炎や花粉症、アレルギー性鼻炎などの治療薬が含まれています。これらの薬は、慢性疾患の患者さんにとっては長期的な使用が必要なものも多いのが現状です。
●保険給付から除外に伴う患者負担の増加
2025年6月に自民、公明、日本維新の3党は、医療保険制度の持続可能性を確保する観点から、OTC類似薬の保険給付の見直しに合意しました。2026年度から段階的に一部のOTC類似薬が保険適用外とされ、患者自身の負担が大幅に増える恐れがあります。
市販薬は処方薬に比べて価格が著しく高くなるため、同じ薬を自己負担で購入しなければならない場合、例えばアレルギー性鼻炎の薬であれば約10倍以上、皮膚炎治療薬でも数倍の負担増となるケースがあります。この負担増は、特に慢性疾患患者や子ども、低所得者にとって重大な経済的負担を意味しています。
●慢性疾患患者や子どもへの十分な配慮の必要性
慢性疾患を抱えるご家庭では、長期にわたり安定した薬の供給と負担の軽減が不可欠です。OTC類似薬の保険外しは、こうした患者さんの計画的な治療を困難にし、症状の悪化や重症化リスクを高める懸念があります。
また、子どもの医療費助成制度や難病患者の公費負担医療から除外される場合もあり、少子化対策や医療保障の観点からも慎重な対応が求められます。公明党の秋野公造医療制度委員長は、健康増進や重症化予防の推進を重視し、患者のプレッシャー軽減を第一に考えた政策の実現を訴えています。
●医療現場からの懸念と重症化予防の重要性
臨床医の立場からは、OTC類似薬の保険除外によって診療を受ける機会が減少し、重大な病気の早期発見が遅れる可能性が危惧されています。症状が安定している患者でも、定期的な診察と医療機関のフォローが健康維持には不可欠です。
実際に、ドライアイやアレルギー性結膜炎の点眼薬などが対象となると、小児の診療負担が増え、患者本人や家族の不安も広がっています。こうした課題は、医療の質や国民生活の質(QOL)を守る上で看過できない問題です。
●公明党の姿勢と今後の展望
公明党は、医療保険制度の持続可能性を図りつつも、こどもや慢性疾患患者、低所得者など生活に大きな影響が及ぶ方々への十分な配慮を最重要視しています。必要な受診機会の確保と医療の質向上に努め、健康増進や重症化予防による医療費削減を目指し、より良い社会保障制度の形成に取り組んでいます。
現時点では、具体的な保険適用除外品目は未定であり、見直しは慎重に進められるべきとの考えが強いです。公明党の秋野参院議員も、制度の影響を十分に検証し、必要な措置を講じながら実施を進めたいとしています。
●結びに
OTC類似薬の保険適用見直しは、国の財政改革の一環として検討されているものですが、患者個人の健康や生活への影響は非常に大きい問題です。特に慢性疾患の方や子ども、低所得者への影響を見極め、丁寧で配慮のある対応が必要です。
公明党は、医療の質を守りながら、国民負担の軽減と社会保障制度の持続可能性を両立させるべく、現場の声を重視しつつ政策形成に全力を挙げています。皆さまの理解と協力をいただきながら、安心できる医療環境を守ってまいります。