
先日、紅葉が美しく色づく神戸市北区の無動寺で開催された「蒔絵師 泉元紫紅 監修 蒔絵教室作品展と茶会」に
参加させていただきました。境内を彩る燃えるような紅葉と、静かに佇む古刹。その風景だけで、すでに心が整うような
感覚がありました。
一服のお茶が教えてくれたこと
まず最初に、吉田宗和先生のご指導のもと、お茶会を体験させていただきました。紅葉を眺めながら、
温かい茶碗を両手で包み込む。そのひと時が、日常の慌ただしさをそっと溶かしてくれました。
吉田宗和先生の丁寧なお点前と、一つひとつの所作に込められた意味。「わび・さび」という言葉を、言葉ではなく、
心と身体で感じた時間でした。日本のおもてなしの心とは、こういうことなのだと改めて気づかされます。
静謐な空間で心が洗われ、次の作品展への期待も高まっていきました。
息をのむ、蒔絵の世界
お茶会の後に拝見した蒔絵作品展。漆の黒に、金や銀の粉を丁寧に蒔きつけて描かれる蒔絵。
その一つひとつに込められた職人さんの技と想いに、ただただ見入ってしまいました。
特に、漆黒の夜空に浮かぶ月のような作品の幽玄な美しさには、思わず時間を忘れて見つめてしまうほどでした。
日本の伝統工芸が持つ、静かで力強い美意識。お茶の世界と蒔絵の世界が響き合い、より深く心に刻まれました。
伝統は、未来へのギフト
吉田宗和先生の茶道、泉元紫紅先生の教室の皆さんによる蒔絵作品展。こうした美しい文化が、
誰かの手によって大切に守られ、次の世代へと受け継がれていく。その営みの尊さを、肌で感じた一日でした。
案内にあった「非日常の世界観に触れる機会」という言葉の通り、豊かな感性が呼び覚まされ、
明日への活力をいただけた気がします。
主催の「うわのそら社中」の皆様、神戸蒔絵教室の皆様、関係者の皆様、素晴らしいひとときを
ありがとうございました。
秋の神戸市北区は、紅葉も文化も、心を豊かにしてくれるものであふれています。こんな素敵な地域の魅力を、
これからももっと発信していきたいと思います。