

文教常任委員会の行政視察で、姫路市の淳心学院中学校・高等学校を訪問しました。
当委員会では今年度、「ICT教育の推進と多様な学びの支援」を重点テーマに調査を進めています。今回訪ねたのは、全国的にも先進的な「授業録画システム」を独自に導入し、大きな成果を上げている淳心学院です。
同校が開発したのは、授業録画システム「レック(REC)」。各教室の通常授業を自動で録画・保存し、専用サイトに蓄積していく仕組みです。
カメラが教員の動きを自動で追いかけるため、先生方に操作の負担はかかりません。生徒は自分の端末から時間割を選ぶだけで、いつでも過去の授業を見直せます。
このシステムの最大の強みは、登校できない生徒の「学びの保障」にあります。
インフルエンザなどによる出席停止や欠席の際も、自宅で通常どおりの授業を受けられる。普段の授業の様子が見えることで、保護者がお子さんと一緒に動画を視聴し、学校への理解を深めるという効果も生まれています。
今年度からは、不登校傾向のある中学生がレックで学習してレポートを提出することで「出席扱い」とする措置を開始。高校でも、難病で通学が困難な生徒が、授業動画とレポート・試験によって成績評価や単位修得ができるようになりました。
今後は、校内に「授業録画の視聴スペース」を整備する計画も進んでいます。
教室には入りづらくても、まずは学校に来て別室で授業動画を見ることから始める。そこからカウンセラーと連携し、段階的に教室復帰を目指す。登校のきっかけづくりとして、大きな可能性を感じました。
視察では、学校側に2つの質問を投げかけました。
1つは、学力向上への効果。定期テスト前にはアクセス数が平時の4倍以上に急増するというデータが示されました。数学や英語など、つまずきやすい教科を繰り返し学べる環境が、生徒の自発的な復習を後押ししています。
もう1つは、普及の鍵を握るコストです。開発には同校の卒業生が経営する企業が協力し、費用を抑制。現在は生徒から月額1,100円の運営費を集めることで、外部からの補助に頼らない自立した運用を実現しています。
このシステムを全面的に稼働させているのは、関西圏で同校のみ。事実上、唯一のモデルケースだといいます。
一方で、常時録画の導入には教員側の心理的なハードルもあったそうです。閉じられた空間だった教室が、保護者や同僚の目に常にさらされる。導入当初は丁寧な説明と合意形成が欠かせなかったといいます。
私からは、「この仕組みを授業研究や教員同士の相互評価に活かし、若手の先生がベテランのノウハウを学ぶ研修の場とすれば、授業の質はさらに高まるのではないか」と提案しました。教室のオープン化が、先生方が互いに切磋琢磨する好循環を生み出しています。
子どもたちの「学びたい」という意欲に寄り添い、技術でそれを支える。この取り組みが県内の公立学校をはじめ、他の教育現場にも広がっていくよう、ICT教育環境の整備に力を尽くしてまいります。
兵庫県議会議員 神戸市北区 大塚公彦
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