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2025.2.27

【全文紹介】2/27付 日経新聞のコラムから 

2月27日付の日本経済新聞のコラム「春秋」。
非常に示唆に富む内容だと感じましたので、全文をご紹介します。

 

【2/27付 日経新聞コラム「春秋」 】
新聞社に入って驚いたことのひとつに、ひっきりなしに届く真偽不明の情報がある。著名芸能人の訃報がファクスで送られてきたことがあった。亡くなった日時や死因も記されている。事務所に確認してウソだと分かったが、いったい、誰が何のために書いたのだろう。

▼ジャーナリストの六角弘さんは怪文書を定義する3つの条件を挙げた。差出人が不明。ターゲットの存在。不特定多数にばらまかれる。義憤に駆られた告発があれば、特定の相手を貶(おとし)めるのが目的の中傷もある。企業や官庁、教育界と分野もさまざま。「戦後の日本は、怪文書の洪水といっていい」(「怪文書」)と書く。

▼政治の世界はその最たるものかもしれない。昨秋の兵庫県知事選のさなか、日本維新の会の県議が百条委員会の音声データや亡くなった元県幹部の私的情報が記された文書を立花孝志氏に渡していたと認めた。一部は出所も真偽も不明というから、怪文書の類いに違いない。同党の県組織がきのう、2人の処分を公表した。

▼「噂レベルでも知られるべきだと思った」。1人が記者会見でこう語っていた。拡散した情報が選挙を歪(ゆが)め、他者を追い込んだ自覚はあるのか。辞書によれば「怪しい」には「正体がはっきりしない」のほか、「道理や礼儀にはずれている」「けしからん」といった意味があるそうだ。まことに怪しい面々というほかない。