今回は、物流現場で進む運賃適正化とトラックドライバーの賃上げに向けた最新の法改正について、分かりやすくご紹介します。
物流改革の背景と国の責任
長時間労働や低賃金、多重下請け構造による運賃の目減りが物流業界の大きな課題でした。2024年4月からはドライバーの時間外労働規制も始まり、運送力不足が深刻化。政府は「運賃適正化と賃上げは国の責任」と明言し、法改正に本格的に取り組んでいます。
新法と運賃適正化のポイント
「適正原価」の義務化
2025年からは「標準的運賃」に代わり、国が定める「適正原価」を下回らない運賃設定が義務化。人件費や燃料費など必要経費を反映した運賃で契約できる仕組みが強化されます。
運賃・料金の更新制度
運賃や料金は定期的に見直され、経済状況やコスト変動に応じて適正水準が維持されます。
多重下請け構造の是正
下請け階層の制限や、実際に運送を担う事業者への運賃減額防止策が導入され、現場ドライバーの収入増が期待されます。
荷主の協力が不可欠
運賃適正化や賃上げには荷主の協力が不可欠です。荷主が人件費や燃料費の上昇分を認め、適正な運賃で契約することが、ドライバーの待遇改善と物流の持続可能性につながります。
賃上げの現状と今後の課題
2024年6月には標準的運賃が8%引き上げられ、国は年6~13%の賃上げを目指していますが、現状は0.9~3.5%にとどまっています。今後はさらに2割以上の運賃引き上げが必要とされています。
地域の物流を守るために
地域の物流事業者が安心して働ける環境づくりは、地域経済の基盤強化にも直結します。国・自治体・業界・荷主が連携し、適正な運賃と働き方改革を進めることで、物流の未来に希望が広がります。
まとめ
国が「適正原価」に基づく運賃義務化と多重下請け構造の是正を推進
荷主の協力が不可欠
運賃・賃上げの流れは始まったばかりで、今後も継続的な取り組みが必要
持続可能な物流の実現に向け、地域とともに歩みます
トラックドライバーの皆さまが正当に評価され、安定して働ける社会を目指し、引き続き現場の声を政策に反映してまいります。ご理解とご協力をよろしくお願いいたします。