
●世界が注目する「プラスチック汚染防止条約」交渉の現状
8月5日から15日、スイス・ジュネーブでは「プラスチック汚染に関する国際条約(INC)」を巡る交渉会議が開かれました。今回の会議には日本を含む184カ国、約3,700人が参加し、国連主導のもとでプラスチックごみの根本解決に向けた策定協議が続けられています。
議論は、「生産そのものの抑制・規制を重視する国」と「リサイクルや廃棄物管理の強化」に重きを置く国の意見が対立し、一部重要項目では合意にいたりませんでした。結果として、2025年中に交渉継続が決定され、条約策定は再び持ち越された形です。
●なぜ合意に至らなかったのか?——課題と日本の立場
今回の合意見送りには、「どの程度の生産抑制を国際約束とするか」「各国の産業構造をいかに考慮するか」が最大の課題でした。石油由来の原料から生まれる多種多様なプラスチック製品は、便利である一方、環境中に投棄・流出すると分解されず残留する性質があり、海洋や陸上で汚染を引き起こします。
日本政府は、製品設計基準の明確化や廃棄物管理の強化、そして国ごとに行動計画を策定・報告する体制の重要性を訴えました。一方で、生産規制や強力な削減数値目標には消極的で、「各国の事情をふまえた現実的な枠組みづくり」を優先した姿勢でした。
今後も日本は、リサイクル技術やモノづくり現場の知見を活かしつつ、国際枠組みへの積極貢献を続ける方針です。
●「地域から未来へ」——兵庫でも進む実践
条約策定が難航する中でも、地域では地道な取り組みが進んでいます。兵庫県でも使い捨てプラスチックの削減、先進的な資源循環モデル、マイクロプラスチックの調査活動など、多様な主体による実践が広がっています。
私自身も現場の声を大切にし、地域の環境教育や回収促進、誰一人取り残さない循環型社会を目指して取り組みを進めてきました。国際条約の着地点がどのような形であれ、地域から変革を起こす——そうした小さな積み重ねが、やがて世界の流れを変えていく大きな力になると信じています。
持続可能な地球環境のために、これからも皆さまと現場の知恵を結集し、共に行動してまいります。ご意見やご提案、ぜひお寄せください。