1月16日の農政環境常任委員会では、「大自然のめぐみと共生する持続可能な農林水産業に関する調査」をテーマに、
神戸大学の保田茂名誉教授を講師としてお迎えしました。保田名誉教授は、兵庫県有機農業研究会の創設者であり、
地域農業の持続可能性や食の安全に関する研究・実践を長年進めてこられた第一人者です。
講義では、日本の農業を取り巻く現状や課題について、多角的な視点からご講演いただきました。
特に、兵庫県の農業の現状、国際的な食料自給率の比較、日本の農業政策の課題について議論がなされ、多くの示唆を得る機会となりました。
戦後直後は100%だった日本の食料自給率が、現在では**37%から38%**にまで低下。
この状況により輸入食材への依存が高まり、国内農業の衰退が進むと同時に、
食料安全保障の観点からも早急な対策が求められています。
兵庫県の豊かな自然と農地は、県民の暮らしや食文化を支えてきました。しかし、農地の荒廃や農業従事者の高齢化が進行。こうした課題に対し、有機農業や地域密着型の取り組みを推進することで、地域農業の再生が可能であると指摘されました。
ヨーロッパ諸国では、農業経営の安定化を支える政策が整備されています。
一方で、日本は価格政策が不十分であり、農業の持続可能性が十分に確保できていない状況。
特に米の価格安定が日本の農業政策の柱であるべきとの意見が示されました。
日本の伝統的な食文化を再認識するため、学校給食での米の活用や、
家庭での炊飯教育の推進が提案されました。
保田名誉教授は、「4歳や5歳の子どもに米を炊かせることが、日本の農業を支える第一歩になる」と述べ、
米消費の増加が農業の持続可能性に直結することを強調されました。
1973年に兵庫県有機農業研究会を設立し、有機農業の普及や食の安全に関する活動を先駆的に推進。
兵庫県の食育推進運動や農林水産業の振興にも深く携わり、多くの実績を残されています。
近年では、有機農業の新たな分野開拓や地域活性化にも注力されています。
講義の最後には、「日本の農業政策を支えるのは政治の力」とのメッセージが強調されました。
私たち一人ひとりが米を中心とした食生活を見直し、地域農業を支える行動を起こすことが重要です。
今後も農政環境常任委員会では、持続可能な農林水産業の発展に向けて議論を深め、
具体的な取り組みを推進してまいります。引き続き、ご支援をよろしくお願いいたします。